ホームページに動画を埋め込む効果と、失敗しない活用の判断基準
「サイトに動画を載せると効果がある」という話は聞いたことがあるはずです。ただ、実際に発注を検討している立場からすると、本当に自社のサイトで効果が出るのか、どこに・どんな動画を置けばいいのかが判断できないまま止まっているケースが多いと感じます。
結論から言うと、動画の埋め込みは条件次第で効果が出ます。「動画を置く」こと自体に意味があるのではなく、場所・内容・目的のセットが合っているかどうかが成否を分けます。この記事では、制作の現場から見た実務的な判断基準をまとめます。
動画を埋め込むと何が変わるのか
まず「効果」を整理しておきます。サイトに動画を入れることで変化が起きやすい指標は、大きく3つです。
- ページ滞在時間:テキストだけのページより動画があるページは、ユーザーが離脱せずにいる時間が延びやすい。ただし動画が自動再生で音声ありだと逆効果になる場合もある
- 情報の理解スピード:サービスの説明や製品の使い方など、文字では伝わりにくい内容が動画で補えるため、検討段階のユーザーが判断しやすくなる
- 問い合わせ・CVへの後押し:LP(ランディングページ)や資料請求ページに動画があると、意思決定の後押しになりやすい。特に信頼性を示す会社紹介や実績の見せ方として機能しやすい
反対に、効果が出にくいケースもあります。「とりあえず動画を置いた」状態がこれに当たります。具体的には、内容が薄い動画をトップページに置くだけ、YouTubeの埋め込みが表示崩れを起こしたまま放置、動画の目的とページの目的がずれている、といったケースです。
効果が出る配置と出ない配置の違い
トップページのファーストビューに置く場合
多くの企業サイトで採用されている配置ですが、目的を明確にしないと逆効果になります。トップページの動画に求めるべきことは「何をしている会社か」を瞬時に伝えることです。30〜60秒程度で、サービスの雰囲気・対象顧客・強みが伝わる構成が適しています。
一方で、長尺の会社紹介動画や、製品仕様の説明動画をトップに置いても、多くのユーザーは最後まで見ません。ファーストビューに置く動画は「興味を持ってもらうための入口」と割り切る必要があります。
サービス説明ページ・LPに置く場合
ここが最も費用対効果が出やすい配置です。サービスの内容や導入の流れを動画で見せると、ユーザーが具体的なイメージを持てるようになります。問い合わせフォームの直前に置く構成は、特に検討段階の後押しとして機能します。
LPへの動画活用については、Webサイト制作のサービスページでも制作事例の文脈で触れています。
採用ページに置く場合
採用ページは「会社の雰囲気が伝わるかどうか」が応募率に直結しやすい場所です。社員インタビューや職場の様子を動画で見せることで、テキストだけのページより応募者の納得感が上がります。ただしここは別記事で詳しく触れているため、本記事では割愛します。
動画の種類ごとに変わる効果の出方
「動画を埋め込む」といっても、どんな動画を置くかによって期待できる効果が変わります。目的別に整理します。
- 会社紹介・企業PV:ブランドの信頼性を上げる。商談前にサイトを見てもらう際に機能しやすい
- サービス・製品紹介動画:理解を早める。比較検討段階のユーザーへの後押しになる
- お客様の声・事例紹介:社会的証明として機能。信頼性の補完になる
- 使い方・デモ動画:「買ってから後悔しないか」という不安を減らす。ECサイトや無形サービスのLPで効果が出やすい
目的が決まっていないまま制作を始めると、「見た目はいい動画だけど、コンバージョンに繋がらない」という状態になりがちです。先に「この動画を見た人に次に何をしてほしいか」を決めてから制作に入ることが重要です。
埋め込み方法による技術的な注意点
動画の埋め込み方には大きく2つの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあります。
YouTubeやVimeoを使った外部埋め込み
コストを抑えられる反面、いくつかの制約があります。YouTubeの場合、再生後に関連動画(他社の動画を含む)が表示されるため、せっかく引き込んだユーザーが離脱するリスクがあります。Vimeoの有料プランでは関連動画の非表示が可能です。また、外部サービスの仕様変更や障害がそのままサイトに影響します。
サーバーに直接アップロードする自己ホスティング
関連動画問題が発生せず、表示をコントロールしやすい一方、動画ファイルのサイズによってはページの読み込み速度が落ちます。サイトの表示速度はSEOにも影響するため、適切な圧縮と遅延読み込み(Lazy Load)の設定が必要です。
どちらの方法を取るかは、動画の使用目的とサイト全体の構成で判断する必要があります。制作会社にサイト側も依頼している場合は、この判断をまとめて相談できます。
発注前に確認しておくべき判断基準
動画の埋め込みを検討しているなら、以下のチェックリストを使って現状を整理してみてください。
- どのページに置くか、配置場所が決まっているか
- 動画を見た後にユーザーに何をしてほしいか(問い合わせ・購入・資料DLなど)が明確か
- 動画の長さは目的に合っているか(トップ用:30〜60秒、説明用:1〜3分が目安)
- 既存のサイトに動画を後から入れるのか、サイトごとリニューアルするのか
- 動画とサイトを別々の会社に依頼するか、一社でまとめて対応するか
このリストで「決まっていない」項目が多い場合、動画を先に作り始めると後から修正が発生しやすくなります。特に「どのページに置くか」が決まっていないと、動画の尺・テイスト・情報量のすべてが宙に浮きます。
費用と期間の目安
動画の制作費用は内容と規模によって大きく変動しますが、一般的な目安として以下のように考えるとよいでしょう。
- サービス紹介動画(1〜2分程度):20〜60万円前後が一般的な目安。撮影の規模・ナレーション・CG使用の有無で変動する
- 企業PV・会社紹介動画:30〜100万円前後。撮影日数・出演者・編集の複雑さによって上下する
- SNS向けショート動画(30秒以内):素材流用前提なら10〜20万円前後が目安
なお、既存のサイトに動画を埋め込む作業は、サイトの構造によって対応コストが変わります。WordPressなど更新しやすい構造のサイトであれば軽微な作業で済みますが、古いフルスクラッチのサイトは改修が必要になる場合があります。
制作期間は撮影ありの動画で概ね4〜8週間、既存素材を使った編集のみなら1〜3週間が目安です。いずれも要件や修正回数によって前後します。
より詳しい費用の考え方は料金・費用の目安ページに記載していますので、参考にしてください。
映像とWebを一社で見ているからこそ分かること
動画制作とWebサイト制作を別々の会社に依頼すると、ある問題が起きやすくなります。動画は完成しているのにサイト側で正しく表示されない、動画のテイストとサイトのデザインが浮いている、といったケースです。
現場でよく見るのは、動画制作会社から「16:9の横長動画で納品」されたものの、サイト側がスマートフォンでの縦長表示を想定しておらず、動画が見切れてしまうというケースです。あるいは、動画の背景色がサイトの配色と合わず、ページ全体として見たときに統一感がなくなる、といった問題も起きます。
こうした問題は、映像とWebの両方を把握している制作者がいると事前に防げます。動画の仕様(アスペクト比・秒数・テロップの有無)を決める段階で、どのページにどう配置するかを踏まえて設計できるからです。
まとめ:次に取るべき一歩
この記事で確認した内容を踏まえて、今の自社の状況に当てはめてみてください。
- 「とりあえず動画が欲しい」なら、まず置く場所と目的を先に決める
- 「サイトに動画を埋め込みたいが、既存サイトで対応できるか分からない」なら、Web制作会社に現状確認の相談をする
- 「サイトも動画も両方手を入れたい」なら、一社でまとめて相談できる会社に連絡するほうが工程のロスが少ない
動画の埋め込みは、やり方次第でサイトの成果に直結します。ただし「置くこと」が目的になると費用だけかかって終わります。目的・配置・内容の三つが揃ったときに、初めて効果が出る施策です。
PIXEL OUTでは映像制作とWebサイト制作の両方を一社で対応しています。動画をどこに置くか、どんな内容にするかの相談から受け付けていますので、判断に迷っている段階でもお気軽にご連絡ください。
よくある質問
既存のホームページに動画を後から追加することはできますか?
ほとんどのケースで技術的には可能ですが、サイトの構造によって対応の手間が変わります。WordPressで作られたサイトなら比較的簡単に対応できます。一方、古いHTML固定サイトや独自システムの場合は、改修コストが発生することがあります。まずはサイトの制作・管理をしている会社に現状を確認するのが先決です。
動画を埋め込むとサイトの表示速度が遅くなりませんか?
動画ファイルを直接サーバーに置く場合は、最適化しないと表示速度に影響します。YouTubeやVimeoの埋め込みを使う場合は、動画ファイル自体の負荷はサイト側にかかりませんが、埋め込みコードの読み込みが発生します。いずれの場合も、遅延読み込みの設定や適切な圧縮処理で対策できます。サイト制作と合わせて依頼する場合は、この最適化をセットで対応してもらうと安心です。
動画制作とホームページ制作を別々の会社に頼むのと、一社にまとめるのはどちらがいいですか?
どちらが正解とは一概に言えませんが、動画をサイトに組み込む前提がある場合は、一社でまとめて対応するほうが仕様の齟齬が起きにくいです。別々に発注する場合は、動画の仕様(サイズ・尺・ファイル形式)をWeb制作会社に事前確認してから動画制作会社に発注する順番にすると、後からの修正依頼を防げます。